憂いのとき/栗栖真理亜
を広げて
私の前から飛び去った
遠い、遠い、世界へと自由に飛び回る蝶
僕の涙で君の羽を濡らし
二度と君が私の前から飛び立てないようにしてしまいたい
そうすることがよりふたりの間を苦しめることになるということを
知っていても
君を縛りつける術がこれしかないなら
もう二度と僕の前から姿を消さないように
柔らかな羽をむしりとってしまいたい
あぁ、臆病で自分勝手な僕を許して
羽ばたきするたびに黄金の粉を撒き散らし
辺りの何気ない花ばなを魅了する君よ
どうか君の情熱的な瞳が他所に移りませんように
僕が君にとって重要な恋人でありますように
僕は運命(さだめ)のままにここで祈ろう
君が僕にとってかけがえのないままでいてくれますように・・・
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