憂いのとき/栗栖真理亜
 
いつになったら君の背中に追いつけるのだろう
僕の指は戸惑いに震えて君にしがみつく勇気すらない
灰色に澱んだ空を見上げて黒く濁ったため息をつくばかり
そっと舌先を口のなかで転がせてみるけれど
カサカサに乾いた紅い粘膜が僕の意気地のなさを虚しく嘲笑っているよ

あぁ、 君の顔が消えてしまう
君の声も聞こえない
ただひとり雑踏の中で立ちすくんで僕は泣いているんだ
大粒の涙が雨となって嬉しそうな街を哀しみの色に染めるけれど
君の姿はもうどこにも見当たらない
めまぐるしく移り変わる季節がふたりを引き裂いてしまったんだね

そう、君は蝶のように羽ばたく
金とコバルトブルーの羽根を広
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