幻想の珠/栗栖真理亜
かけがえのないものを喪くしてしまったんだ
それはまあるくて透明な硝子のように冷たい
サッカーボールぐらいの大きさの球さ
純粋で壊れやすく
くしゃみをしただけで
粉々に砕け散ってしまいそうな柔な物体
もうドコにも手に入らない
僕だけの特別なモノだったのに
あぁ、それなのに・・・!
僕とした事がどうして
こうも簡単に手放してしまったのだろう!
箪笥の中だって
ゴミ箱の中だって
部屋中どこを探しても見当たらない
僕はドコにしまいこんでしまったんだろう
指で触れるたび
紅い直線が血で滲みながら描かれてゆく
幻想(ユメ)の珠よ
内から発せられる優しい光は
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