あいつ/◇レキ
 
ふとしたことで
この袋小路に迷い込めば
いつものあれがやってくる

筋骨隆々のあいつは
僕がいる行き止まりを通りがかると
貧弱な僕を一瞥して
「犬の糞にもならねえ」と呟いて
僕をつまみ
丁寧に関節ごとにぶちぶちちぎる
「マジお前いらねえんだよ」と
無感情に言って去っていく

首だけになり
地面に転がった僕は
昔から定期的にみるこの絶望の
自信に満ちた後姿をぼんやり見る

僕にはわからないことが多すぎる
しかしその中で
なぜ僕は
どうしたら僕は、と
昼に星を探すように考える

ブラックホールが脳みそを圧迫している
世間への憎悪と殺意が静かに煮える

月明かりに目がらんらんと光る
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