旅/リつ
 
天にもゆる漁り火の

迷夢航路を導く幽標

心細さを拭えぬまま

闇に小舟を漕ぎ出る



地には微かな唄の聲

辿る夢路は危うくも

消えず途切れぬ輝き

弱くも強くも繋ぐ絃



天に織日の在る限り

地に笑声の在る限り

命の旅は巡る刻の環

始まり終わり還る魂


        (日本web詩人会 初出)
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