こころの詩(うた)/栗栖真理亜
風に乗って届く君の声
僕は心で祈るように耳を澄ます
僕の祈りは君に届いただろうか
そして僕達は愛し愛される関係へと
お互いを高めることが出来ただろうか
あぁ、君は何も答えない
ただ麗しげな声で愛を囁く
決して果たされることも
満たされることもない
夢物語を
君は幻
指の間をすり抜けてゆく砂
遠い
遠い
潮騒の調べ
僕は水の冷たさに気付いて
震える子供のように手足を縮め涙を流す
君の温もりも優しさも肌で感じることもなく
暗闇でひとりうつむきながら
僕は君の愛しい顔を
想い浮かべようと目を凝らす
君の輪郭はボヤけて
やがて消えてしまった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)