薔薇の行方/栗栖真理亜
 
鉄の鎖が絡みつく
私の身体に重く圧し掛かる世界に耐え切れず悲鳴を上げる
阿鼻叫喚の地獄絵はまるでホラーショーのように繰り広げられる

笑っているのか
泣いているのか
まるで分からない人々の中でただぽつんと私は佇んでいる

愛という名の偽りにこころ乱され
白い大輪の薔薇は乱暴に投げ捨てられたゴミ箱の中で無残にも萎れている
そう、誰にも見返されることもなく・・・

嗚呼、美しさをもって咲き誇る薔薇すら
ていのいいカネヅル達の歓声を浴びながらお辞儀をする
君の瞳には映らないのだろうか?
まるで厄介者のように邪険に払い除けられた華ばなは
一粒の涙すら残さず枯れてしまった

もし、少しでも茶色く萎れた華に気付いたならば
華は貴方の微笑で息を吹き返し元の美しさへと蘇るであろう
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