時間に色は無い/ホロウ・シカエルボク
 
ひとつ思い出せなかった、シャワーを浴びることにしよう、転寝の寝起きは決して爽快という風にはならない、強引にフラットなポジションへと流れを戻す必要がある、そしてその作業を最も簡略化してくれるのが熱いシャワーというわけだ、身体を洗いながら剃刀で髭を剃る、俺の髭はまばらで、どんなに頑張っても唇の周辺にしか生えやしない、顎のラインに沿って生える髭に憬れたけれど、どうやら無理そうだ、人生に心残りがあるとすればそんなことくらいかな―もちろんこれは冗談だけど―髭が少ないのは男性ホルモンが少ないせいらしい、まあ、そんなことどうでもいいんだけど…男らしさってのは、喧嘩っ早くて、ヘビースモーカーで、酒豪ってことでいい
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