赤と白の幻想【ユウワク】/栗栖真理亜
 
ひとつずつ壊れていくガラスのパズル
純粋な愛もなにもかも
黒い檻のまえで崩れ去っていく

冷たい鉄格子に指を這わせ
必死に君の名を呼ぶけれど
還ってくるのは己の虚しい叫び声のみ

嗚呼、ふたりのあいだに立ち塞がるのは
蔦の絡まった巨大なレンガの壁

よじ登ることも崩すこともできない
ただ天を見上げて
溢れてくる熱い涙を瞼にためている

どんな思想も信条もひとっとびで
乗り越えられたらどんなにいいだろう?
育った環境が違うだなんて思いたくない
ただ純粋に愛し合いたいだけなのに・・・

白地に赤のアクセントを心に刻んで君は歩いていく
ボクはもう君の後を追い掛け
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