日常という闇のなかで/栗栖真理亜
 
日常から逃げ出したくなるリアリティ
今も誰かが泣いている

消えた子供の足跡
途切れた過去だけ残して

人間の過ちは泥だらけのシーツに包まれて
草叢に横たわる

夜更けの林のなかで誰が幼い死を痛むだろう?
ああ、か細い断絶魔(だんぜつま)の叫びを誰が聞いただろう?

黄色く濁った眼(まなこ)の生贄となった魂は
今も木々の間を彷徨っている
怒りと無念のあいだで

誰か止めて
負の連鎖反応
悲しみはヒトを傷つけるから
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