そうそう/fujisaki
 
場はしらけず、
ということが
何度も何度も
優しいやつだった
必要な時は文字通り肩を組んでくれた

連れに子どもができて、
また連れに子どもができて
みんな立派になったものだが、
一人欠けると
急に
死んでいく存在
としての俺が
どうにか夜を渡っていく
これまでに死んだ全ての人間の成分が
なまぬるい地下水となって
家の
基礎から、
浸みてきて
ゆっくり枕が濡れる

金持ちはやるらしいよ
マスタングの霊柩車に、
芸人のなんたらってのに弔辞読ませて
Pixiesでも流そう
あいつの言う、理想の生前葬をやっても
ほんとうに
死んだら、
俺らは俺らで葬式を出さなきゃならない
坊さんは呼ばないと仕方ない
ひとつ無理言って
あいつの部屋の
黄ばんだ薄いカーテンを
身体に巻いてやったよ
それくらいだね
でもそれはやったよ
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