悪徳の泉/栗栖真理亜
暗い闇の深淵から何者かが強く私に呼びかけてくる
暗く澄んだ泉どす黒い手が私の服の袖を掴んで放さない
私の脳は痺れたようになって靄がかかる
引き摺られるまま私は暗い泉の底へと体ごと投げ出すのだ
魑魅魍魎どもの雄叫びを聴きながら
私は悦楽の極致に酔いしれる
心地好く揺れる快楽の揺り篭に乗って私は世界中を飛び回り
やがて私の身体はドロドロに溶け
再び闇の泉へと舞い戻る
暗き泉の底から私を呼ぶ声がする
恐ろしく懐かしい声
私の心を溶かし込み放さぬ声
抗えぬ力が作用して私を再び無意識の世界へと導き出すのだ
私は幼き頃 子供らしい正義を愛すのと同時に悪をも愛した
あのドロっ
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