Hana/栗栖真理亜
 
紫色したちいさな花弁がせつなく揺れた
こころの氷が溶け出すころなぜか涙があふれ出す
愛という名の箍がはずれ何もかもが崩れ落ちて
わたしがわたしでなくなるような気がする

あなたの微笑みもなにもかもわたしの記憶から消し去ることが出来るなら
わたしはわたしでなくなればいい

愛と憎しみの狭間で揺れ動くちいさな花
哀しみの雫が花弁を濡らし滴り落ちる

人はまだなにも知らない
憎しみを越え、愛を育むちからを

いつか花は紅いあかい血で染まるでしょう
偽りの世界に根を下ろし怒りの炎に身を焦がしながら

何千何万ものいけにえ達の呻き声が大地を揺るがし大合唱するこの地球で
たったひとつか細い根を大地にしっかりと張り巡らしてじっと耐えぬく
ちいさくて可憐な哀しみの花
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