こおりのいえ/栗栖真理亜
 
氷の上に家が建つ
張りつめた空気の中で薄く冷たい表皮に覆われた海の上
まっくらやみで何も見えぬのに
何故こんなにやり切れぬ想いで家を建てねばならぬのか
何時氷が溶け始めるか分からぬ辺境で割れる音も気にせずただ無我夢中

氷の上に家が建つ
氷柱の鋭き切っ先、家目掛けて落ちてくる
粉吹雪がびゅうびゅう音を立てる
ただそしらぬ顔をすればよいのか
それとも・・・
ただただ私は唖然としたまま見送るばかり

氷のうえに・・・氷の上に・・・
家が傾いて沈んでいく…!
氷の上に家がありました
本当です
誰の助けも借りずに誰にも助けられずに
家はいつの間にか消えていました
戻る   Point(2)