衣 装/塔野夏子
 
衣装という過剰と
わたしという過剰が出会う

わたしの過剰は
欠落の過剰
そこに
衣装という過剰が容赦なく流れ込む
わたしの欠落も
流れ込む衣装をしたたかに咥え込む

衣装はわたしを侵蝕しながら
わたしの身体に拠りかかりうねる器となる
わたしは衣装に絡め取られながら
衣装に拠りかかり身体の芯を据える

喰み合い
精気を奪い合う
衣装とわたし

そんな衣装だけが
わたしの立つ場所を舞台にする
そんな衣装だけが
ひとときわたしを美しく存在させる


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