夢のあと/栗栖真理亜
祭のあとに起きた出来事の後、父と母は離婚し、僕と兄とは母に連れられて兵庫県の山手に引っ越した。そこは母の故郷で、母は知り合いの口利きでとある公的な機関で団体職員として働き始めた。やがて母は市議会に立候補して当選し、議員として僕達家族の生活を支えた。僕はそんな母親の元で小中高と何不自由なく育ち、難関と言われる受験を突破して、京都の有名私立大学に入学した。入学当時の僕は真面目に社会学を学び、喋ること以外、演劇などにはまったく興味なかったのだが、ちょうど二十歳の時に、仲間の一人が「面白いから」と誘った芝居を観てから人生が一変した。
【階段落ち】で有名なつかこうへいの「蒲田行進曲」に触発された僕は、同じ
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