夢のあと/栗栖真理亜
た。
そこで僕は、今や腐れ縁ともいえる人物と出会うのである。
そいつは殺陣と躍りとを融合したような芝居を得意とした劇団の看板役者で、ロックを基調としたTシャツと破れたジーパンを着用しそしてトレードマークの帽子からは常に相手を切り裂くような鋭い眼差しを向けていた。 僕達はすぐに意気投合してまずは焼肉屋で芝居や様々なことを語り合った。とはいえ、酒が一滴も呑めない僕はただひたすら肉を頬張り、相手のほうはいける口なのか、酒を旨そうにちょびちょび飲みながら、肉をつまんでいた。
どちらが先に誘ったのか分からないが、いつの間にか僕らは、僕が親の金で借りた2RDKのマンションの一室にいて、ベッドで戯れていた。
彼は男同士の行為についてはまったく無知だというので、僕が率先して行為を行なった。
こうして彼も元そとばこまち劇団員の作った芸能事務所へ一緒に所属し、舞台や映像など、まるで相方のように行動を共にして今に至る。
これが僕の夢のあとである。
了
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