しゅかん/示唆ウゲツ
 
おだやかで生ぬるい風
消毒液のにおいを消してくれるまで
君の部屋には入らないと決めた
病院からすべてを見下すように続くながい下り坂を
ガードレールにぶつかりながら歩いた
僕の手は機械 君の手も機械
虹色の欲望が下りきったもやもやをやさしく砕いていく機械
はにかめば痛みが増えて 寝転べば夢だって見る
閉じ込めたい 入りきらない分は君に預けてでもいい
ゆっくりつ少しずつやってくる5月の暑さと
めまぐるしくいそがしい僕の主観の中で
眼前の港は遠ざかっていく
午後の陽に右手をかざしてもう一度風景を掴み取る
夢中で切り裂くほど臆病な態度で祈った
閉じ込めたい


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