AI――詩人と詩の終焉――/鳥星
精神病院のベッドの上にいて
飛び出してきた看護師たちによって
取り押さえられる
押して押されて押して押されて
彼は叫んだ
俺から取らないで詩を
色とりどりの積み木を重ねるように
幼い頃から積み上げてきた俺の世界を
夢を壊さないで
俺は詩人だ
詩人なんだ――
看護師たちの手が彼の顔を押して
彼の腕に鎮静剤の注射を刺した……
風が流れている
青空が嘘のように澄み切っている
壁や床が柔らかな保護室のベッドの上で
意味不明な呪文を執拗に反芻する
詩人という属性が完全に消えたこの世界で
彼は病人でしかなかった
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