散歩道/レタス
 
朝の冷たく透明な空気を吸って
土手路を歩き
川面に浮かぶ鴨を数えたら
六羽が静かに泳いでいた
鴨鍋にしたら何人前になるだろうか
などと考えながらコンビニへと向かう

紫と白い小さな菊が寒い風に揺れていた
椿の紅いつぼみが膨らんでいた
それで胸の疼きが少しだけ癒され
冬をむかえる覚悟ができた
コンビニへの道程はまだまだ遠い
自転車でいけばすぐなのに
ゆっくりと ゆっくりと
歩いていたかった

何を買うかも決めずに病棟を出てきたが
たぶん温かな肉まんでも買うだろう
それを はふはふ… もぐもぐ…
食べてみよう
ゆっくりと ゆっくりと
歩きながら食べてみよう

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