プロフィール/リリー
 
 冴ゆる風にこぼれて舞う
 レモン色した木の葉のひと翳り
 そういうもので
 詩を書きたいとおもう

 心に満ちる平穏な日常は、
 わたしの気付きもしない情景のなかで
 なにものとも くらべがたく
 たがいの途でゆきずりのひとの現実と
 無意識のうちにすれ違う

 そこには他のものにすりかえられない
 点や線が、たしかにあって
 継続される風景と
 わずかにズレた臨界を感じとれば
 脳髄の樹海から羽ばたいてくる
 小さなフクロウのまんまるい眼球が光を放つ

 そのとおくかすむ鳴き声をとらえるように
 本当には言葉にできないものを
 誰かに伝える術として
 思いめぐらし綴っているのだ

 それは創りだされるもの
 リリーという筆名を使う自分の
 永遠に見ることの無い顔を夢想してみたりする。



 
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