人災は閉じられない「すずめの戸締まり」/栗栖真理亜
世界観など、ファンタジーを織り交ぜながら、被災者やそれを受け入れた親族の葛藤や厳しさ、それを乗り越えていこうとする人間のたくましさと成長、それを見守る周りの優しさがよく描かれていた。
しかし、この作品には人災である原発事故については描かれていないのが非常に残念である。
あくまで自然災害についてのみ描かれていて、そこにいる人間たちは皆、良心的に描かれていた。
人間の犯す愚かさやエゴイズム、原発事故によって故郷を離れざる終えなくなった被災者の苦悩または放射能汚染に苦しむ人々なども描ききれていたなら、もっと深い作品になっていたのではないか。
そんなことを思いながら、眠い目をこすりながら寝床に入った。
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