土の重石(つちのおもし)/
みぎめ ひだりめ
つからか 重石(おもし)になったのです
先祖の墓を拝んだときの 静けさ
川の水を掬い飲んだときの 清冽さ
庭の柿の木にぐっと登ったときの 高さ
大きな鳥に睨まれたときの 恐ろしさ
どれも 目に浮かぶように鮮明で
まだまだ 離れることはない
土の匂いが ここまで
茶色のささくれた 皮の木々が
わたしのからだに 根を張ったような
わたしは あの頃の土に
まだ 埋もれている
少なくとも こころは
あの山に埋まったまま
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