土の重石(つちのおもし)/みぎめ ひだりめ
 
つからか 重石(おもし)になったのです

先祖の墓を拝んだときの 静けさ
川の水を掬い飲んだときの 清冽さ
庭の柿の木にぐっと登ったときの 高さ
大きな鳥に睨まれたときの 恐ろしさ

どれも 目に浮かぶように鮮明で
まだまだ 離れることはない
土の匂いが ここまで

茶色のささくれた 皮の木々が
わたしのからだに 根を張ったような

わたしは あの頃の土に
まだ 埋もれている
少なくとも こころは
あの山に埋まったまま
戻る   Point(3)