立冬/
山人
無意識に吸い込んだ息が吐き出されるとき
秋は深まっている、と感じる
淡々と掃除をくり返し、残った塵をさらいこむように
物語は終焉へと向かいはじめる
夢は廃田の草のように思いついたように揺れ
朽ち果てた二級国道のドライブインのように
思い出だけがうなだれている
あらゆる物たちが廃れていく中で
血液だけがいたるところに充満し
意志を持った生き物のように動き走り回る
*
立冬の岬へ行ってみる
名もない船が私を待っている
そこにクルーは誰も居ない
戻る
編
削
Point
(5)