冬の精/栗栖真理亜
蒼く白く浮かび上がる斜面を手のひらで滑り降りて
ごわついた皮膚の冷たさを知る
まるでゴム毬のような乳房をわし掴みしてその谷間に暗い頭を挟み
これが生きている証拠だと誇張する
あぁ、生きている
死んでいる
生キテイル
死ンデイル
女は死んで私は生きている
滑らかな曲線を指で画いて失った体温を脳の奥底で感じよう
血の気のないひんやりとした冬を女が運んで来たのだから
開いた毛孔から生える産毛の一本一本までも恥じらうことなく私は愛そう
雪のような麗しき肌は欲望のまま体で愛でて心で昇華すればよい
凍える吐息とともに
一年の最期(おわり)を硬く柔らかな旋律に変えて
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