シング・ア・ソング/ホロウ・シカエルボク
売っぱらったりするのは間違いだ、それはすでに自分を形作っているひとつの要素なのだ、そしてそれを思い出すごとに再考してみるというのは、自分が日々どれだけのものを手に入れているかという確認にもなる、以前聴こえていなかった音だって聴こえるようになる、成長過程の中で触れて来たものというのはその後もずっと意味を持ち続ける、俺はほとんどのものを棚に突っ込んである、もちろん、金に困って売ってしまったものもある、でも時々、思い出して買い直したりもしてみる、真剣に向き合ってきたものなら、思い出しもしないなんてことは絶対に無い、いや―ちょっと待て、昼間なのに梟が居るのか?慌てて窓際に視線を戻すと梟はもう居なくなってい
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