打ち棄てられて/
栗栖真理亜
時は残酷で波に揺られて流れ去る
血を流した痛みも愛も
死んだように忘れられて無機質な笑いに還る
涙は乾き
深刻な真実は意味なき嘘になる
あぁ、掃き溜めに脱ぎ捨てられた私の脱け殻
くしゃくしゃに丸められた青い吐息
若さだけが便りの無邪気な夢も
排水溝に流されてクルクル廻る
どこか遠くで聞こえる幼子の咽び声は
まだ何も疑う事すら知らぬ在りし日の私
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