深紅の蜜/ホロウ・シカエルボク
 
める、っていうのは作品的な話じゃない、書き方を含んだ人生のすべてを集約するという意味なんだ、俺はまとめたりなんかしない、いまさらそんなこと言う必要も無いのかもしれないけどね、ありのままに投げ出すのがこういうのは一番なんだ、だけどそう、ばらばらに投げたりとか…いっぺんに投げたりとかね、ペンキを壁にぶつけて描くアートみたいなもんさ、速度とリズム、それからある種の恍惚、引き摺り出される無意識下の怪物、それが俺の思う詩作ってやつさ、怪物は蛇のような形をしているが、外皮には滑り止めのようなものがついていて蛇みたいにつるつるじゃない、そいつを力ずくで引き摺り出す瞬間の快感って言ったら!そのまま死んでもいいって思えるくらいさ、でもそんな思いのおかげで俺はこうして生きていて、いつまでもそいつを感じたいと考えている、そうさ、こんな種類の快楽は、この作業でしか味わえないんだから。


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