深紅の蜜/ホロウ・シカエルボク
 
だ、個人としてのこだわりをぶち殺すのだ、それも、出来るだけ残酷な殺し方が良い、イマドキのコンプライアンスになんて乗っかる気にもならないさ、すべてを見つめたことのない目で何を語ることが出来るというんだ、語れというのなら手前の肉の味まで語ってみせるさ、それはストイックな行為じゃない、時に俺はそういう見方をされることもあるけれど…その実は普通の人間が呆れかえるくらいの快楽主義者なんだ、そう、俺の脳内麻薬の純度は限界越えの上物だぜ、覚悟がなければ味わうこともままならない、俺はぐちゃぐちゃの渦の中にわが身を投げ出して呼吸の限界まで耐える、どうしようもなくなったときなぜかきちんと陸地へと吐き出される、もしも戻
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