生きるのって苦しいばかりなんだろうか?/由比良 倖
う問題にすり替えられる人は、ある意味とても幸福なのだ。だって、とにかく疑問抜きで、社会というゲームに参加している自分を疑いもしないのだから、当然、うだうだ言ってないで、ゲームをうまくこなすテクニックや考えを身に付ければいいだけの話。「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」、でも、天にも見放された人、そもそも自分が人であるという実感をまるで持てない異星人みたいな感覚を、いつまでもいつまでも抱え続けながら、しかも生活もしなければならないという、ふつうの二倍の苦痛を抱えた人たちは、少数ながら、いや、もしかしたらかなり多数、確実に存在する。何となれば、硬質で、美麗でもない中也の詩のファンが今でもとても
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