落日/
リリー
鈍色の民家の瓦と重なって見えた
黒味帯びる朱をのこすだけの
散り落ちぬ大輪のバラ
秋立つ日
貴女はうつむいて想いに耽り
天蓋の星たちが数回瞬く間の短い夜を
すごしているのか
それとも
目覚めれば
風とやさしく語らって今朝も
へのへのもへじの化粧を
したのかも知れない
花は無防備に枯れ行くだけだ
私は水に飢えて
鉄屑の匂いを嗅ぐ様な落日を
くり返しむかえている
飢えて ことばの闇をひとめぐり
いつか光のひとすじへ
夕映えに、
おもいを馳せて
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