大阪文学学校の思ひ出 ─続・大阪文学学校体験記─/室町 礼
 
いけど二十歳前後から一人で東南アジア全域
を旅行してきた娘だ。人を見る目は持っている。わた
しが「ナンパ」の気持ちなど毛ほどもないことをすぐ
さま直感で見抜いており、安心してこの正体不明の男
に関わっているのだ。「室町さんは人間が好きなのね」
といった。そう、人間に関心があるだけなのだ。それ
はお姫様のように世間知らずな奥方もそうで学生時代
から俳句をやるだけにわたしごとき見抜かれていた。
わたしはあまりにも己を卑下してるがゆえに、自ら恋
愛だのナンパだのといったことを頭から否定して、た
だ、きれいな女の子や知性&品のある奥方と話をした
いだけなのだということをわかってくれて
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