大阪文学学校の思ひ出 ─続・大阪文学学校体験記─/室町 礼
 
密談し、ときになごや
かに、ときに大笑いしている。文学学校の事務局一同
にとってこれほど異様で不思議な光景はなかっただろ
う。

あるとき中クラスの小説部門の講師が件のレストラン
の遠くにあるテーブルから身を乗り出して信じられな
いものを見るような顔つきでわたしたちを見ていたこ
とがある。それに気がついたS嬢が目配せするとお姫
さまは「いや〜ね」といって笑い転げた。
小説の講師をしながらどうしてこのシチュエイション
が理解できないのか。そんなことだから売れない小説
を書いて無名のままこのようなところで講師をするこ
とになるのだとわたしは内心いきどおった。
S嬢は可愛いけ
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