大阪文学学校の思ひ出 ─続・大阪文学学校体験記─/室町 礼
 
クラスにいた。なぜかわたしは、初対面の日からそ
の中年女性と親しく口をきくようになった。
深窓育ちらしく、いい歳になって自転車も乗れない世
間知らずの奥さんだった。
ただし、運転は出来るらしく旦那さんのものだという
スポーツカーに一度乗せてもらったことがある。冷や
汗の連続だった。本人も免許をとって数度しかハンド
ルを握ってないという通り、スーパーまで行くわずか
十数キロのあいだに何度も車とぶつかりそうになった。
それきり彼女と車の話はしないことにした。

彼女の旦那さんは東南アジアの某国に支社長として赴
任することになり彼女も同伴するはずだったが、夫の
母親のボケが進ん
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