collage/あらい
 
 いったいどれほどの月陽が流されたことでしょうか
 砂を蹴る彼がまた花房を垂らす眠りについてから
 異臭ともとれる斜交いは闇夜を抜け出し光が斜めに走っていく
 のぞみは少しばかりの顔を覗かせているというのに

 溝を緩衝しない大団円がさすらいのものがたりと出入りを繰り返す

 そこはピンを打ってハサミを入れる、細かく散らした花々の行く末を案じて、この手は拭きこぼした山吹の水彩状に凍って見え、なにもないうえに、あとにした真鍮の火が灯していたケースに、残念なわたしが留まっているだけの物憂げな空間にある――彼女の意識が脈打つよう、それも、あれもまたじんとするほど、夢の夢の跡にしまわれる。
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