大阪文学学校体験記/室町 礼
その後、
五歳になったわたしは両親の離婚とともに京都市内に
ある孤児擁護施設に預けられたのだが、そのときも大
声で泣きわめいたことを覚えている。こういうことが
あってわたしは幼児のころから外部に心を閉ざして本
しか読まない子どもになっていった。
現実に向き合うのが怖いし、何かを記憶したり意識し
たりするのもかつての恐怖を呼び起こしそうで怖かっ
た。わたしは知的発達が遅れ、自然な対人交流がで
きなくなっていった。そういう境遇からくる現実的な
所作のぎこちなさが女性たちから「ヘンなやつ」と映
っていたのだろうと思う。
わたしはイジメにあって内心腹を立てているのだが、
相手が女
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