そのうち 眼裏に 花香る。/あらい
一つの丘に対し駆け上がる、息を整えては姿を思います。野草の強さを願うとき 目を凝らせば姿も浮かぶような、ぽつと明かり ともり ぼぉと照らしだす未知に沿って、拍動は抑えきれず漏れた声色はどこへ届くというのだろう。
傷だらけの溝に埋まる、正体を、君と名付けて見ようとした。けれど手紙を書ききれないように、頭に霜を戴く、骨組みを交わし魂がざわめくままに笑みが咲く。両手には持ちきれないほどの小花を摘み、腹を空かせたものが辿り着く場所へ、躰は撓み 歪み 曳かれ裂かれるより、つぶされるより膨らみ 薄く 底に痕を轢いていく。
今宵に参り 白木蓮の蕾 あかぎれ、まだきゃしゃな幹に手をかけ軽く登る、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)