自称詩人の彼方に/鏡文志
 
があります。それは、猫の『ポチ』です」
自称詩人、誰にも愛されてないのに、愛を語るのみ。
「僕には才能と言えるほどのものが、ありませんでした。せいぜいカラオケでオバさんを二回泣かせた程度です。愛されもしないのに、愛されようとしました。抱きしめる勇気もないのに、抱きしめられたかった。認められもしてないのに、認められた気になっていた。そんな私にとって、一つだけ人生の希望というべき望みがあります。それは、死んだ後に、認められることです」
自称詩人、一人にも認めらていないのに、才を誇るのみ。
自称詩人、夢叶わずとも涙拭けるのに。自称詩人、永遠の物語神話に、一人耽るのみ。
酒と涙と深夜の幻聴。張り裂けそうな頭で、サイレンのような言葉綴る。

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