ホロウ・シカエルボク氏「喪失というものにかたちがあるとしたら」を読む/朧月夜
 
ん、日本の明治以降の文化という宙ぶらりんがもっとも真摯に表されていて、少し今の時代に読み返してみても良い作品群なのかな、という感じがしています。これが霊の滑稽──漫画家水木しげるの妖怪物のような表現となると、文学であれば泉鏡花の「天守物語」のような<世界のカリカチュア>というものに集約されていくのかな、という気はしているのですが。

 あるいは記憶違いであったかもしれないのですが、ホロウ・シカエルボク氏の作品には、病院の──それはあくまでもこの作品においてたまたま現れたものでしかないのかもしれず、ただ、ホスピタリティーを「受ける」のではなく「与えようとする」側の能動性が、これまでにも幾度となく
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