ホロウ・シカエルボク氏「喪失というものにかたちがあるとしたら」を読む/朧月夜
 
 ホロウ・シカエルボク氏の「喪失というものにかたちがあるとしたら」を読ませていただいて。

 カフカについて詳しくなく……カフカとカミュは、ダリに拒否反応を示したのと同じように、なぜか受け付けなかったのですよね。今回はポーのようなニュアンスというよりは、もっと純和風な、谷崎潤一郎の「犯罪小説集」(集英社文庫)のような趣を感じました。……わたしの記憶では、これは著者本人がまとめたものではなくって、近年になって集英社が独自に集めた短編集だったような気がするのですが。江戸川乱歩とか、安部公房のような科学を突き抜けたサイファイ(非科学の科学)のような匂いもして……その両者とも、わたしは詳しく読んでいな
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