釣りをした日/番田
えた。大きな波を立ててどこに行くのだろうと、そして、船を見た。僕はもう、そして何もしたくないとは、今は思わなかった。今日もビルの谷間に日は沈んだ。その記憶を確かにさせるように。
時はぼんやりとした今日の記憶を流れる。何であるかを知らせるために。そして、忘れさせるために。車は何台目だろう。遥か遠くに見えた、太陽。一人竿を振っていた。存在し生きている理由を考えた。若かった頃は思い描いたことを結局何もしなかった。いつも浮浪者のようだったと思うのだ。
僕の背中は竿を仕舞って、一人、そこから立ち去った。立ち止まって、途中で写真を何枚か写す。景色は動画の方が、夜はブレないので良い。辺りを、まだランナーは走った。その思いを感じさせるように。船が通り過ぎると、僕は堤防を越えて、駅に向かった。光る町並み。夜空は高い。人は明日もこの通りの上を歩く。きっとどこまでも歩くことだろう。
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