仮設/中沢人鳥
煉瓦壁を登る小虫の
到達できる小さな、或いは巨きな星に
憧憬を保てる子の畏怖
もし、
砂壁に渦巻く蟻地獄に
もろとも強奪されてしまっても
柔和な眼光が孕む不条理を
喜劇、と笑うように
壁の向こうの窒息を
受容する脈動のテンポ
踊る蜘蛛と手の境界の
微分不可能な一点にある無限を
無限だと信じる心を天体に託し
計算結果は信用を獲得する
基点の判然としない演繹であるはずが
そこに論理式を応用する試み
両の掌の真皮すらもう繋がっていて
太陽の方位に膝を赤くするそれを
祈り、と言った
畏怖、祈りの総体として
その小虫と、壁と、太陽と、手と、、、
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