凩馨/あらい
 
そしてとある広場にて/パノラマの群衆が/音のないパズルに到る/へだたりのない手が/みずたまりのホタルより/絵本のページとおく/ふところのうえで/ケムリを吐いています//ひずんだ心臓を濾過する/金糸雀と呼べ/虹彩に並べ/疲れ果てた処で/日没を手にした瞬間/白い旅をはじめたとき/秋はぶら下がりはじめていた//焼き立ての情報は擬似的な物語だから/カラメルがかかったポスターに表現され/採用された旗はリンゴに広がっていく/スタートした瞬間を一滴/パンの香りと評し/おだやかに傷ついて/風にのって、街中/このからだのシナモンの匂いがとれやしない//この街の人々は/しなびた舌が/(惜しくもない、辛いとはおもわない
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