帰るべき家/パンジーの切先(ハツ)
草上に敷いた薄水色の布へ、サンドイッチとサラダを置いたまま、わたしはときどき長い草や砂利に足を取られつつ、川の近くへ降りていった。川と草の境目で、ぐらつく石にのるわたしへ、あなたは、手を振った。振ったように見えた。
草上の布は、あなたをのせて、風になびくこともない。そこらじゅうで、わたしたちが点々と並べてきたレジャーシートが、空に舞っている。
クリーム色のレジャーシートが空に舞い上がったとき、少しだけ泣きそうになったと、川の近くから戻ってきたわたしに、あなたは言った。
舞い上がる(ビニール)、(ポリプロピレン)たちは、何かを訴えるように大きな音を立てて空へあがっていく。
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