fire bird/おまる
子供の頃から 雨の日が嫌いじゃなかった
暗闇から蘇りほんのひととき 美しく生きる蝶のように
いつも元気のない お前の汚れを洗い流す
誰にも省みられない 可哀想なお前の意思
蛹みたいに 小さな母体の中で眠っている
かつて人生は快楽を味わうためにあったと死刑になった詩人が言い残した
もしも大きな罪で多くの犠牲者が出ても人々はこの地に戻ってきて春が深まる
なぜ同じ人間同士なのに能力や容姿や財力に差があるのか
お前が蛹の中で眠っている間にも世の中は<変態>が動かしていて
着ているものを脱ぎ捨て 与えられてきたものを拒んでも
それでも親に似てしまうのが子で春が深まっていく
生きることは 誓いにそむいて心を変えることだ
あるいは 捨てられて恨むこと *
*(原條あき子「原条あき子全詩集」)
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