止まり木/
夏井椋也
止まり木を探している
橋の上から
水面を眺めながら
欠け始めた月に
追い詰められながら
止まり木を探している
カフェの二階で
雑踏を読みながら
沈みかけた街に
足を取られながら
止まり木と言っても
わたしはトリではないから
舞い降りた所が
世界の真ん中ではないから
わたしはヒトだから
薄皮一枚で
孤独を包んでいるだけだから
世界に見つからないように
こっそりしがみつける
(あるいは詩が見つける)
止まり木を探している
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