数式の庭。─前篇─/田中宏輔
 
に。
しかし、言葉が自我と分かちがたいものであるように
数も演算子と分かちがたいものであろう。

逆か。
数が演算子と分かちがたいものであるように
言葉も自我と分かちがたいものなのであろう。

 *

そして、さらに
もっとおもしろいことにはね、
と、ゴーストが聞こえない声でささやいた。
見えない指で、わたしが差し示した空に雲がなくてもね、
きみたちは、空を見上げて
そこにない雲を
こころの目のなかに思い浮かべることもあるんだよね。
と、ふと、そんな声が聞こえたような気がして
空を見上げた。

 *

ゴーストは、空を曲げ
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