約束の地/由木名緒美
ないような悩みばかりで、私は相槌を打つしか応答が出来ない。
「とにかく会おうよ。お金はある? とにかく無理は絶対しないでね」
「うん。電車で一時間だし、それくらないならなんとかなるよ。私もなおちゃんに会いたいな」
私達は互いの居場所の中間地点で落ち合った。駅でみきちゃんの姿を見つけると、私はみきちゃんを思い切り抱き締めた。ありがとう。生きていてくれて。ありがとう。会いに来てくれて。
カフェで一息ついて、私達は早めのランチを食べた。みきちゃんは二匹のわんちゃんを飼っている。
「……わんちゃん達と同居出来るグループホームが見つかったのは嬉しいんだけど、知らない県で、知って
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