行動と回想/番田
ではないようだった。彼らは、長いつけまつげをした少し奇抜な格好をした日本人だった。何か、自由を求めていたのかもしれない。渋谷にもう、無くなった、たぶん、それを。それともただの気分だったのだろうか。そこにモニタもないシートで、誰もが暇を持て余しているように思えた。誰もが、機内販売の人が来ると何かしらのものを買った。マニラ空港に着くと、やはり通路から日本とは異なる雰囲気を感じさせられた。ワックスで磨かれた床が、高い音をソールの底から鳴らした。スマホのアプリで審査証を作るよういわれる。夜も遅いので、苦行だった。しかし、ノリでは通してくれそうもなく、1時間が費やされ、いかんせん何もベトナムのようにはそれはいかなかったのだ。とりあえずメシを、と思い、ごはん屋を、そこを出ると、探した。空港の中にまで、客引きの人が入っているようで、声をかけられる。不安を、治安に覚えつつも、アドボという料理を食う。日本円にして500円と、量の割には安くはないと、それを、吉野家を思い出させられながら食べた。ただ、肉は、ちゃんとした歯ごたえがある、肉だった。
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