定演/北村 守通
 
からであって
この
閉鎖的な
超空間を
想像して語り合った日々を
超空間の下で
生きてきたことを
忘れてしまっている
この体では
正確な距離感を掴めないのは
当たり前のことだと気が付いた
けれども
やっぱり
小さくて
せまいものだったのだろうかと
自分の記憶に自信を失いつつも
思い出そうとしながら
座席に
どっかと
もたれかかった
その
ひじ掛けの固さには
覚えがあった


花は
もう
受付にあって
ここにはなかった
バウムクーヘンは
もう
受付にあって
ここにはなかった
スポットライトに焦がされた日々は
あっちに
置きっぱなしになっていて
もう
ここにはなかった

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